
はじめに:熱帯魚の導入時にやっておきたい!トリートメントの基本と実践ガイド
熱帯魚を新しくお迎えする時、ついやりがちなのが「そのまま水槽に入れてしまう」こと。
でも実はこれ、とてもリスクが高い行動なんです。
お店で元気そうに見えても、魚たちはすでに長距離の移動や袋詰めのストレスで弱っている状態。
このときに、本来は無害な常在菌(じょうざいきん)にすら体が負けてしまい、病気になることがあります。
たとえば白点病やカラムナリス(尾ぐされ症状)が、導入直後に急に出るのはこれが原因です。
トリートメント=“導入前の安全確認とケアの時間”
トリートメントとは、本水槽にいきなり入れるのではなく、数日間だけ別容器で体調の確認や回復を行う期間のこと。
これによって「病原菌の持ち込みを防ぐ」だけでなく、「魚自身の体調を整える」ことができます。
ケースによっては“水合わせだけ”が適切な場合もある
すべての魚にトリートメントが絶対必要というわけではありません。
たとえば、以下のような明らかに元気な魚なら、点滴法での水合わせだけで本水槽に入れてしまった方が、かえってストレスが少ないこともあります。
- 袋の中でも泳ぎが活発で、色も鮮やか
- 呼吸が荒くない(パクパクしていない)
- フンの状態も良好
導入時は、まず袋のまま水槽に浮かべて10〜15分観察しましょう。
そのうえで、以下の判断をします:
魚の状態 | 対応 |
---|---|
明らかに元気 | 点滴法で水合わせし、すぐ本水槽へ導入してOK |
呼吸が荒い・ヒレが閉じている | トリートメント水槽で数日間様子を見る |
外傷や痩せ・色あせあり | トリートメント+塩浴または薬浴を実施する |

トリートメントって、ぜんぶの魚に“やらなきゃいけない”ってわけじゃないんだよ〜!“この子は大丈夫そう?”ってしっかり観察するのが、いちばん大事なんだ〜!
トリートメントとは?熱帯魚を迎える前の“ワンクッション”
トリートメントとは、本水槽に入れる前に別容器で短期間管理し、健康状態を整える処置のこと。
病気の兆候を見逃さず、環境に少しずつ慣れさせる目的があります。
特に新規導入時は、以下のような理由でトリートメントが非常に効果的です:
- 病気や寄生虫の「持ち込み」を防げる
- 輸送で弱った体力を回復できる
- 本水槽への影響(感染拡大・いじめ)を避けられる

ようこそ〜!ってそのまま入れると、実は他の魚がびっくりしちゃったり、逆に新人がダメージを受けたりしがちなんだ〜。トリートメントは“迎える準備体操”みたいなものだよ〜!
導入時トリートメントをやるべきタイミングと状況
トリートメントは、すべての導入魚に必要というわけではありません。
重要なのは、「感染リスクが高い個体かどうか」を判断できるかどうかです。
以下のような状況や魚の状態に該当する場合は、トリートメントの実施が推奨されます。
■ 長距離輸送を経た個体(通販・空輸など)
移動中のストレスにより、免疫力の低下とアンモニア中毒のリスクが高まります。
特に輸入便(東南アジア・南米ルート)は、空輸中の水質悪化と急激な温度変化が起きやすく、外観に異常がなくても内部にダメージが蓄積されていることがあります。
■ 痩せている・ヒレが欠けている・泳ぎが弱い
外見上の異常は、すでに細菌感染や内臓疾患が進行している兆候かもしれません。
トリートメントにより塩浴や軽い薬浴を行うことで、悪化を防ぎ、状態を立て直すことができます。
■ 混泳水槽への導入予定のとき
導入先の水槽に既存の魚がいる場合、新魚が持ち込む**外部病原体(例:トリコディナ、カラムナリス、白点病原虫など)**が蔓延する可能性があります。
トリートメント期間中に病気の兆候を観察することで、他魚への感染を未然に防ぐことが可能です。
■ 飼育難易度が高い種やワイルド個体
ワイルド個体や採集魚(ネグロ川のカラシンやスラウェシ産シュリンプなど)は、飼育水に適応するまでに時間がかかり、pHショックや急変による拒食・突然死が起こりやすいです。
トリートメント環境で軟水〜中性水質にゆっくり慣らすことで、適応率が高まります。
トリートメント水槽の作り方と必要な道具

新しい魚を迎えるときは、まず本水槽とは別の「トリートメント水槽」を準備します。これは短期的な隔離環境で、魚の様子を観察し、必要であれば処置を施すためのものです。
用意するもの(濾過なし)
必要な道具 | 解説 |
---|---|
小型水槽またはプラケース | 約10〜30L程度。30cmキューブがちょうどよいサイズ |
ヒーター | 水温を安定させるため。26~28℃を維持できるもの |
エアポンプ+エアストーン | 酸素供給用。特に塩浴や薬浴では必須 |
水温計 | ヒーターの誤作動や水温の急変をチェック |
非ヨウ素の食塩(または専用の観賞魚用塩) | 塩浴に使用。後述の分量を参照 |
バケツ or プラ容器(計量や水合わせに使う) | 水換え時や移動時に便利 |
※濾過フィルターは原則使いません。
理由:塩や薬剤を使用するため、生物濾過バクテリアが死滅し、かえって水質悪化の原因になります。トリートメント期間は短期なので、エアレーションのみで十分です。
使用する塩の種類と量
塩はあくまで「調整用・殺菌補助」として使用します。
必ず以下のいずれかを使用してください:
- 【推奨】観賞魚用の専用塩(例:アクアソルトなど)
- 食用塩(ただし精製塩=純粋な塩化ナトリウムに限る。ヨウ素入り・粗塩・岩塩・にがり入りはNG)
塩の濃度と量の目安(0.3〜0.5%の塩水浴)
水量 | 濃度0.3% | 濃度0.5% |
---|---|---|
10L | 30g | 50g |
20L | 60g | 100g |
27L(30cmキューブ水槽) | 約81g | 約135g |
※「1Lに対して3g〜5g」が基本です。家庭用のキッチンスケールで測ると正確です。

お塩の量はちょっと多いけど、ちゃんと計れば効果バッチリだよ〜!“なんとなく”じゃなくて、ちゃんとグラム単位で測ろうね〜!

導入前トリートメントの手順
新魚を導入する前に、以下の流れで丁寧に処理します。
1. 水合わせの方法(導入前)
魚は水質の急変に非常に弱いので、点滴法による水合わせがおすすめです。
● 点滴法の手順(所要30〜60分)
- 袋の水ごと魚をバケツや容器にあける
- エアチューブを使って、トリートメント水槽の水を少しずつ垂らす(1秒に1滴ペース)
- 30〜60分かけて水をゆっくり馴染ませる
- 最終的に袋の水と同量かそれ以上の水を加えたら、魚だけをネットですくってトリートメント水槽へ移す
※袋の水は混入させないこと(病原菌・アンモニアのリスク)
2. トリートメント水槽での管理(2〜5日)
- 水温:26〜28℃で安定させる
- 塩分濃度:0.3〜0.5%を厳守(事前に溶かしてから投入)
- 餌:初日は与えず、2日目以降に少量ずつ。体調が悪ければ無理に与えない
- 照明:最小限または消灯。暗い方が魚は落ち着く
- 水換え:毎日1/4〜1/3を目安に。新しい塩を追加して濃度を維持
3. 本水槽への導入前にも水合わせを
トリートメント終了後、魚を本水槽に移す前にも必ず水合わせを行います。
- 方法は導入時と同じ「点滴法」がおすすめ
- トリートメント水槽と本水槽でpHや硬度が異なる可能性があるため、慎重に移行
- 合わせて、魚がしっかり回復しているか最終チェックを

“水合わせは1回だけ”って思いがちだけど、本水槽に入れるときも実は重要なんだよ〜!水質ショックで体調崩すケース、けっこう多いんだ〜
まとめ:トリートメントは“やるかどうか”ではなく“どう見極めるか”
熱帯魚の導入時に行う「トリートメント」は、魚を守るだけでなく、水槽全体のバランスを保つための大切なプロセスです。
でも大切なのは、「とりあえずやること」ではなく、「この魚に必要かどうかを見極めて行動すること」。
記事のポイントをもう一度整理しましょう:
- 魚はショップや輸送で強いストレスを受けている。見た目が元気でも免疫は下がっているかも
- 常在菌に負けて病気になることも。トリートメントはそれを防ぐ“ワンクッション”
- 元気なら点滴法の水合わせだけで本水槽に導入してもOKな場合もある
- 怪しい個体は必ず塩浴や薬浴で様子を見てから導入する
- トリートメント水槽は短期的な環境なので濾過は不要。エアレーションと塩分管理が重要
- 移動時は必ず水合わせを。トリートメント→本水槽でも水質差は大敵!
そしてなにより大切なのは、魚をよく観察すること。焦らず、冷静に対応すること。
この2つを意識するだけで、トラブルの8割は回避できます。

“元気に泳いでる=健康”とは限らないんだよ〜。トリートメントは“魚の未来への投資”みたいなものかも!見極めの目を養って、トラブル知らずの水槽ライフを楽しもう〜!

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