
はじめに|フグは淡水でも飼える?その魅力とは
フグと聞くと、一般的には海に住む魚というイメージが強いかもしれません。しかし、実は淡水で飼育できる「淡水フグ」も存在します。特にアクアリウムの世界では、小型でユニークな性格を持つ淡水フグが、近年ますます注目を集めています。
淡水フグの魅力は、何と言ってもその愛嬌のある表情と動きです。クリクリとした目でこちらを見つめる仕草や、水槽の中をパトロールするように泳ぎ回る姿には、多くの飼育者が心を奪われています。

フグって“毒があって危険な魚”って思われがちだけど、淡水フグは種類によっては無毒だったり、飼育もしやすいんだよ〜!
一方で、フグは「飼いやすい」とは一概には言えない魚でもあります。気性が荒かったり、混泳が難しかったり、水質管理が繊細だったりと、初心者が何の予備知識もなく始めるには少しハードルが高いかもしれません。
だからこそ、本記事ではフグの魅力とともに、正しい飼育方法、よくあるトラブル、そしておすすめの淡水フグ種などを、実体験も交えながらしっかりと解説していきます。
淡水フグの種類と特徴|初心者向き・中級者向きに分けて紹介
フグといえば海の魚というイメージがありますが、アクアリウムで人気なのは淡水〜汽水に棲む種類です。しかし、「淡水フグ」と呼ばれていてもすべてが純淡水で終生飼育できるわけではありません。種類によって必要な水質や飼育スタイルが大きく異なります。
とくに注意が必要なのが「テトラオドン属(Tetraodon)」と呼ばれるグループ。淡水〜汽水の両方にまたがって分布し、飼育者の知識が問われる属でもあります。
■ 完全な淡水で飼える種類(初心者〜中級者向け)
◎ アベニーパファー(Carinotetraodon travancoricus)

- サイズ:最大3cm前後
- 性格:小競り合いしやすい。基本は単独飼育。
- 特徴:完全淡水可。小型水槽にも対応。
- 飼育難易度:★☆☆(初心者向け)

アベニーは“世界最小のフグ”だよ〜!1匹なら30cm水槽でも飼えるから、初心者の淡水フグ入門にぴったり!
◎ インドマミズフグ(Tetraodon cutcutia)

- サイズ:最大15cm
- 性格:極めて攻撃的
- 特徴:完全淡水可。テトラオドン属の中でも貴重な淡水種。
- 飼育難易度:★★★(中級者向け)
インドマミズフグは淡水フグの中でも大型寄りで、テトラオドン属に属しながら終生淡水飼育が可能な稀有な存在です。見た目の可愛さとは裏腹に、非常に攻撃的な性格で、他魚との混泳は避けましょう。
■ 汽水を必要とする種類(中級者以上向け)
◎ ミドリフグ(Tetraodon nigroviridis)

- サイズ:最大12〜15cm
- 特徴:幼魚期は淡水でもOKだが、成魚は汽水必須。
- 性格:気が荒く単独飼育向け。
- 飼育難易度:★★☆(中級者向け)
ミドリフグは初心者に人気の汽水フグですが、成長とともに汽水環境が必要となる点が見落とされがちです。人工海水での塩分濃度管理が求められます。
◎ トパーズパファー(Tetraodon fluviatilis)

- サイズ:最大17cm前後
- 特徴:ミドリフグよりも大きく成長。汽水飼育推奨。
- 性格:荒め。単独飼育が安全。
- 飼育難易度:★★★(中級者向け)
■ テトラオドン属とは?|飼育者を悩ませる多様な性格と水質
「テトラオドン属(Tetraodon)」はアクアリウム界でよく知られるフグの代表的な分類群です。属名に「Tetraodon」が付くフグは、基本的に中型〜大型種が多く、気性が荒くて飼育にコツが必要なことが特徴です。
ここでは代表的なテトラオドン属の種類を紹介します。
◎ ファハカパファー(Tetraodon fahaka)

- サイズ:最大40cm以上(大型種)
- 性格:非常に攻撃的。混泳不可。
- 特徴:純淡水で飼育可能。成長速度も早く、水槽も大型必須。
- 飼育難易度:★★★★(上級者向け)
ファハカパファーは、「ナイルフグ」とも呼ばれる大型の淡水フグで、テトラオドン属を代表する存在です。完全な淡水で飼育できる数少ない大型フグであり、迫力ある動きと賢さから愛好家が多い一方、単独飼育は絶対条件です。最終的に90〜120cmクラスの水槽が必要になります。

ファハカは“かしこくて目が合う”なんて言われることもあるけど、油断すると手を噛まれることもあるから気をつけてね〜!
◎ テトラオドン・ムブ(Tetraodon mbu)

- サイズ:最大60cm超(最大級の淡水フグ)
- 特徴:淡水飼育可だが、水槽ではなく屋内池レベルが推奨
- 飼育難易度:★★★★★(超上級者向け)
ムブは世界最大級のフグとして知られ、流通量も非常に少ない超大型種です。水質に敏感で、膨らみやすく、臆病で、愛嬌がある反面、飼育には膨大な設備が必要です。水槽では長期飼育は難しく、水量1000L超の環境が現実的とされています。
■ 淡水?汽水?それとも…選ぶ前に必ず確認!
「淡水フグ」として販売されている種類でも、成長にともない汽水環境を必要とするケースは少なくありません。とくにミドリフグやトパーズパファーなど、幼魚時と成魚時で必要な水質が変わるタイプは、飼い始めてから後悔することも。

“淡水フグ”って書いてあっても、ず〜っと淡水でいけるかどうかは別問題!成長後の環境も調べてからお迎えしてね〜!
フグ飼育の基本設備|水槽サイズ・濾過・レイアウトの考え方
淡水フグは見た目の可愛さや愛嬌のある動きから人気ですが、実際に飼育するには専用の設備と環境づくりが欠かせません。フグは繊細な水質や空間に敏感で、適切な設備を整えないと体調を崩したり、攻撃的になったりすることがあります。
ここでは、初心者がつまずきやすいポイントを含めて、水槽サイズ・ろ過・レイアウト・フタの4つの観点から基本設備を解説します。
■ 水槽サイズの目安|フグのサイズと単独飼育を前提に
淡水フグは多くの種類が単独飼育向けです。そのため、「1匹だけだから小さくていい」と思われがちですが、実際には以下の点を考慮して水槽サイズを決める必要があります:
フグのサイズ | 推奨水槽サイズ | 備考 |
---|---|---|
3cm以下(アベニー等) | 30cmキューブ〜 | 単独なら30cm水槽で可 |
10〜15cm(ミドリフグ・インドマミズ等) | 60〜90cm水槽 | 遊泳スペースと水質安定のため必須 |
20cm以上(ファハカ等) | 90〜120cm水槽 | 成長後のサイズを想定すること |
特にファハカパファーのような大型種は幼魚時に45cm水槽でスタートしても、最終的には120cm水槽以上が必要になります。

フグは“ひとりで広々”が基本だよ〜!水が少ないとすぐに汚れちゃうから、水量に余裕のある水槽を選ぼうね〜!
■ ろ過装置は「過剰なくらい」でちょうどいい
フグの飼育で最も重要なのが水質管理です。フグは他の魚と比べて、排泄量が多く、餌の食べ残しも出やすいため、アンモニアや亜硝酸の蓄積に弱い性質があります。
おすすめの濾過システム:
- 外部フィルター:ろ材容量が多く、生物濾過に優れる。中〜大型フグに最適。
- 上部フィルター:メンテナンスしやすく酸素供給力が高い。60cm以上で◎。
- スポンジフィルター:アベニーなど小型種のサブフィルターとして併用可。
注意点として、底面フィルターは砂が詰まりやすくフグ向きではありません。また、水流が強すぎるとフグがストレスを感じることがあるため、吐出口をガラスに向けるなど工夫が必要です。
■ レイアウトはシンプル+隠れ家重視
フグは「レイアウト命!」という魚ではありませんが、ストレスを軽減させるために隠れ場所をいくつか設けることは非常に重要です。
おすすめのアイテム:
- 焼き物系シェルター(素焼きの土管など)
- 石や流木(角がなく倒れにくいもの)
- 背面を覆うレイアウトで落ち着ける空間を作る
ただし、水草は種類によっては食害や引き抜きの対象になることがあります。特に中〜大型フグはレイアウトを壊してしまうことがあるので、固定できる石やシェルターを中心に考えましょう。

フグはレイアウトを“かじる・どかす・掘る”ことがあるから、固定してある物が安心だよ〜!
■ フタは必須!脱走防止と塩分飛散対策にも
フグは意外とジャンプ力があり、特にびっくりした時などに水面から飛び出す事故が起きることがあります。そのため、水槽には必ずフタを設置しましょう。
また、汽水環境で飼育する場合、塩分を含んだ水が飛び散りやすく、照明や家具の腐食の原因にもなります。密閉性の高いフタを使い、こまめな掃除や拭き取りも大切です。
フグの設備を整える際は、「単独飼育でも広めに」「ろ過は強めに」「レイアウトは安全に」「フタは必須」といったポイントを押さえることで、快適な環境を実現できます。
フグに適した水質管理|塩分・pH・アンモニアへの注意
フグの飼育で最も気をつけたいのが水質管理です。淡水魚として分類されることの多いフグですが、実際には水質の変化にとても敏感な種類が多く、少しのトラブルでも体調を崩してしまうことがあります。
ここでは、フグ飼育において重要な塩分濃度・pH・アンモニア・水換え頻度の4点を中心に、初心者がつまずきやすいポイントを詳しく解説します。
■ 塩分濃度|汽水フグは人工海水を必ず用意
汽水フグを飼育する場合、必ず人工海水の素(マリンソルト)を使って、塩分濃度を調整する必要があります。塩分濃度は種類によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
種類 | 推奨比重(塩分濃度) | 備考 |
---|---|---|
ミドリフグ(成魚) | 1.005〜1.010 | 幼魚期は淡水でも可。徐々に汽水へ移行。 |
トパーズパファー | 1.008〜1.015 | 比較的高めの汽水を好む。 |
ファハカ・アベニー等(完全淡水) | なし(塩分不要) | 淡水で可。塩分添加は逆効果になる場合も。 |
人工海水は、水換え時に使用する水に溶かしてから投入します。直接水槽内で混ぜるのはNGです。塩分濃度は「比重計」で測定し、±0.002の範囲で維持するのが理想です。
■ pHの管理|弱アルカリ寄りが基本
多くの淡水フグや汽水フグは、pH7.0〜8.0前後の弱アルカリ性を好みます。pHが低すぎる(酸性に傾く)と食欲不振や体表の炎症、フグ特有のふくらみ行動が増えるなど、体調不良の原因になります。
対策としては:
- サンゴ砂や石灰岩を底材・装飾に使う(pHを緩やかに上昇)
- 水換え時に弱アルカリ性の水で補う(RO水+pH調整剤など)
- 酸性に傾くソイル系底床は非推奨

ソイルを使うと水が酸性に傾いちゃうことがあるよ〜!フグには砂利やサンゴ砂がおすすめかも〜!
■ アンモニアと亜硝酸|フグは毒にとても弱い!
フグは餌をよく食べるぶん、フンの量も多く、水が汚れやすい魚です。特に餌の食べ残しが沈殿したままになると、アンモニアや亜硝酸といった有害物質が発生し、フグに深刻なダメージを与えます。
- アンモニア濃度が0.1ppmを超えると危険
- 亜硝酸濃度は0.5ppm以下を維持
- 検査には水質試験紙または試薬キットを活用
これらの物質は目に見えない毒です。とくにフグは鱗がない(または非常に薄い)ため、水質の悪化をダイレクトに受けやすい魚であることを忘れてはいけません。
■ 水換え頻度|少量でもこまめにが基本
フグ飼育における水換えの基本は、「こまめに・慎重に・丁寧に」。目安としては以下の通りです。
- 小型水槽(〜30cm):毎週1〜2回、1/3程度
- 中型〜大型水槽(60cm以上):週1回、1/4〜1/3程度
ただし、汽水フグの場合は水換えのたびに人工海水を作る必要があるため、多少の手間がかかります。だからこそ、水換え頻度を抑えられるよう、濾過能力を強化しておくことが大切です。

水換えの時、汽水の塩分濃度をうっかり間違えるとフグがびっくりしちゃうから、ちゃんと比重をチェックしてから入れてあげてね〜!
フグはとても賢く、魅力的な生き物ですが、飼育には緻密な水質管理が欠かせません。水質の悪化がそのまま健康状態の悪化につながるため、こまめなチェックと安定した環境維持が、長期飼育の秘訣になります。
フグの餌と食性|人工飼料への慣れと貝殻の重要性
フグを飼育するうえで、餌選びと与え方は非常に重要なポイントです。なぜならフグは偏食しやすく、人工飼料をなかなか食べない個体も多いからです。また、歯が伸びすぎるという独特の問題もあるため、餌の内容には特別な工夫が求められます。
ここでは、淡水フグの餌事情について、経験に基づいた実践的な対処法を紹介します。
■ フグの食性|基本は肉食性+貝殻を砕く習性
淡水・汽水フグは基本的に肉食性で、小魚やエビ、貝類を捕食する習性を持っています。飼育下でもその性質は変わらず、以下のような餌を好んで食べます:
- 冷凍アカムシ
- クリル(乾燥エビ)
- カタツムリやモノアラガイなどの淡水貝
- 稚エビ(ヤマトヌマエビなど)
- シジミやアサリのむき身(少量ずつ)
ただし、小型種(アベニーなど)に対しては餌の大きさにも注意し、口に入るサイズに細かくして与える必要があります。
■ 人工飼料に慣れる個体・慣れない個体
フグのなかには、人工飼料を一切受け付けない個体も少なくありません。特にワイルド(野生)個体は慣れるまでに時間がかかることもあります。
人工飼料に慣らすコツ:
- 最初は冷凍アカムシで餌付けし、給餌時にスポイトやピンセットを使って「場所・タイミング」を覚えさせる
- 徐々に形状や匂いの似た人工飼料(ソフトタイプ)に切り替える
- 空腹時に人工飼料だけを与え、反応を確認する(ただし絶食には注意)
おすすめの人工飼料:
- キョーリン「ひかりパクパクフグ」
- GEX「ベストバランス フグ用」
- テトラ「カーニバル」 ※大型種向き

人工飼料を食べてくれるフグは、管理もすごく楽になるよ〜!でも、無理に切り替えるより“おいしそうな匂い”で興味を引くのがコツかも〜!
■ 歯の伸びすぎに注意!硬い餌は必須
フグの最大の特徴のひとつが、「くちばし状の歯(正確には歯板)」です。この歯は生涯伸び続ける性質があり、自然下では貝や甲殻類をかじることで自然に削られています。
しかし、人工飼料だけで飼育していると歯が削れずに伸びすぎてしまい、食事ができなくなることもあります。
対策としては:
- 貝殻ごと与える(モノアラガイやラムズホーンなど)
- 硬めのエビ(殻付きのクリルなど)を時々与える
- 歯が伸びてきたら歯切り(削り)処置が必要になることも(※上級者向け)
歯切りはフグを麻酔し、ニッパーなどで慎重に歯を削る作業です。初心者には難しく危険を伴うため、できるだけ自然に削れる環境(貝など)を整えるのが現実的です。
※ラムズホーン

■ 給餌頻度と量|肥満にも要注意!
フグは目が合うと寄ってきたり、「お腹が空いた〜!」とばかりにアピールしてくるかわいさがありますが、与えすぎは肥満や内臓疾患の原因になります。
- 小型種(アベニーなど):1日1回、少量ずつ
- 中型種(ミドリフグ、ファハカなど):1日1回〜2日に1回
- 週に1回は断食日を設けるのもおすすめ(消化器の負担軽減)
餌はあくまで「5分以内に食べ切る量」が目安。食べ残しはすぐに取り除き、水質悪化を防ぎましょう。
フグの餌やりは、健康維持・歯の管理・水質維持すべてに関わる重要なテーマです。偏食傾向があることを前提に、無理なく続けられる餌のバリエーションを準備しておくと安心です。
中型フグに最適な飼育環境とは?60〜90cm水槽の実用プラン
10〜20cmクラスの中型フグは、アベニーのような小型種とは異なり、より広い遊泳スペースと安定した水質を確保する必要があります。特にファハカパファーやインドマミズフグなどは、若魚の段階から力が強く、飼育設備に高い耐久性とろ過力が求められるのが特徴です。
ここでは、中型フグのための具体的な水槽環境を「60cm水槽」「90cm水槽」の2パターンに分けて提案します。
■ ケース①:60cm規格水槽(単独飼育・汽水 or 淡水)
対象例:ミドリフグ(汽水)・インドマミズフグ(淡水)
要素 | 推奨内容 |
---|---|
水槽サイズ | 60×30×36cm |
ろ過装置 | 外部フィルター+スポンジ併用、または上部フィルター |
ヒーター | 150W(温度は26〜28℃) |
底床 | サンゴ砂(汽水)または砂利(淡水) |
レイアウト | 石・流木・シェルターを低めに配置 |
フタ | 必須(ジャンプ防止・塩分飛散対策) |
このサイズでは若い個体の一時的な飼育や、成長後の単独維持が可能です。ただし、成長に合わせてより大きな水槽への引っ越しも視野に入れる必要があります。

60cm水槽でも、ろ過がしっかりしてれば1匹ならいけるよ〜!でも、成長が早い種類は半年くらいで手狭になるかも!
■ ケース②:90cm水槽(中〜長期の本格飼育向け)
対象例:ファハカパファーの若魚〜成魚、ミドリフグ複数飼い(※実際は非推奨)、インドマミズフグの終生飼育
要素 | 推奨内容 |
---|---|
水槽サイズ | 90×45×45cm以上推奨 |
ろ過装置 | 外部フィルター(エーハイム2217など)+上部併用も可 |
照明 | LEDライト(低光量でOK) |
ヒーター | 200Wクラス+サーモスタット |
レイアウト | 頑丈なシェルター+底面は掃除しやすい構成 |
メンテ性 | 給排水設備を整えると楽 |
ファハカなどの力が強い種は、飾りが倒れにくい構造・底面をフラットに保ちやすい素材選びが大切です。水槽の掃除頻度も増えるため、排水バルブやホースの接続口があると非常に便利になります。
■ 水槽サイズ拡張の見極めポイント
以下のような兆候が見られた場合、水槽サイズの見直しを検討しましょう:
- フグがガラス面に沿ってグルグル泳ぎ続ける
- 餌を与えた後に興奮して暴れる
- レイアウトが頻繁に破壊される
- ろ過が追いつかなくなってきた
また、フグの寿命は5〜10年ほどあります。サイズや性格に合った住環境を早めに整えておくと、フグにとっても飼い主にとっても快適な生活が実現できます。
中型フグは飼育のしがいがある一方で、水槽サイズ・水質・ろ過力すべてにおいて“本格的な設備”が必要になります。可愛さだけで選ばず、将来を見越した計画を立てて導入することが重要です。
淡水フグ飼育のトラブル事例|混泳失敗・咬傷・水質悪化など
フグの飼育は魅力的でやりがいのある反面、思わぬトラブルに発展しやすい側面もあります。特に初めて淡水フグを飼う場合、「他の熱帯魚と同じ感覚」で飼育を始めてしまい、取り返しのつかない事態に至るケースも珍しくありません。
ここでは、筆者自身や実際の飼育者たちの経験をもとにした代表的なトラブル例とその対処法を紹介します。
■ トラブル①:混泳失敗による咬傷・死亡事故
フグは基本的に混泳には不向きな魚種です。とくにミドリフグやインドマミズフグ、ファハカパファーなどは、高い縄張り意識と攻撃性を持ち、他魚や同種であっても激しく攻撃します。
失敗例:
- アベニーパファーをネオンテトラと混泳 → テトラのヒレがボロボロに
- ミドリフグ2匹を60cm水槽に同居 → 片方が咬み殺されてしまった
- ファハカパファーの成魚にプレコを入れた → 一晩で尾ひれが消滅
対処法としては、原則的に単独飼育を基本とし、混泳させる場合も実績のある種のみ、かつ十分な広さと隠れ家を確保した状態で試すことが大切です。

フグは見た目はゆるキャラでも、中身は肉食系!“うまくいくかも?”の気持ちで混泳すると、悲しいことになるかも〜!
■ トラブル②:歯の伸びすぎで餌が食べられなくなる
フグの歯は伸び続ける性質があるため、硬いものを食べる習慣がないと歯が異常に伸びてしまい、餌をうまく噛めなくなることがあります。
症状:
- 餌に興味は示すが、口に入れても吐き出す
- 口元が常に開いているように見える
- 食事量が減って痩せてくる
対応策:
- カタツムリやラムズホーンなど、殻ごと与えられる貝を定期的に与える
- 放置してしまった場合は、歯切り(専用の処置)が必要になることも
歯切りは上級者でも慎重さが求められ、失敗するとフグに深刻なストレスを与えるため、事前に歯の成長を抑える餌の管理が最優先です。
■ トラブル③:水質悪化による急激な体調不良
フグは水質の変化に非常に敏感です。アンモニア、亜硝酸、pH変動、塩分濃度の急変など、目に見えない変化にストレスを受けやすい魚といえます。
主な症状:
- ふくらむ、もしくは体を斜めにして泳ぐ
- エラを激しく動かす(酸欠やアンモニア中毒)
- 水底に沈んでじっとする(pHショックの可能性)
よくある原因:
- 大量の水換えでpHや塩分が急変した
- ろ過不足でアンモニア濃度が上昇
- 餌の食べ残しによる急激な水質悪化
これらを防ぐには、日常的な水質チェック(pH、アンモニアなど)とこまめな水換えを適切に行うことが不可欠です。
■ トラブル④:ガラスにぶつかって怪我・パニック
特に大型フグは、夜間や驚いた時に水槽内でパニックを起こし、ガラス面に激突して怪我をすることがあります。
対策としては:
- 背面に黒いシートなどを貼って視界を落ち着ける
- 強い光を避け、照明は調光可能なものを使用
- 水槽を静かな場所に設置し、急な物音や振動を避ける
また、ファハカパファーやムブなどは、飼い主に慣れると寄ってくる反面、驚くと急に膨らんだり跳ねたりするため、日常的に落ち着いた環境で接することが大切です。
フグの飼育におけるトラブルは、「性格」「体の構造」「水質への敏感さ」など、魚の特性に由来するものが多く、防ぐためには観察力と知識が必要です。

“可愛い”だけじゃなくて、“気を使ってあげる”のがフグとのお付き合いのコツだよ〜!トラブルが起きる前に気づいてあげようね〜!
まとめ|フグと上手につき合うために
淡水・汽水フグは、その見た目の可愛らしさや行動のユニークさから、熱帯魚の中でも特に人気のある存在です。しかし同時に、飼育には深い理解と設備の準備が必要な魚でもあります。
本記事では、フグを飼う前に知っておきたいポイントを8つのテーマに分けて解説してきました。
■ 振り返りポイント
- フグには淡水・汽水の両方のタイプがあるため、種類ごとの環境に合った水槽を用意することが重要。
- テトラオドン属には完全淡水飼育可能な種(インドマミズフグ・ファハカなど)と、汽水が必要な種(ミドリフグ・トパーズパファーなど)がある。
- 水槽サイズは、成魚時の大きさを想定して選ぶのが基本。単独飼育であっても広さと水量には余裕を持とう。
- フグは肉食性が強く、歯が伸びる性質を持つため、貝類や硬めの餌を取り入れる工夫が必要。
- 水質には非常に敏感。pHや塩分濃度の急変、アンモニアの蓄積などには特に注意が必要。
- 混泳は原則NG。フグの性格や攻撃性を理解し、単独飼育を前提に考える。
- 中型フグの場合は60〜90cm水槽を前提とした本格設備が必要。成長を見越して環境を整える。
- トラブルを未然に防ぐには、観察力と日々のケアの積み重ねが最も大切。
フグは、ただ「可愛い」「面白い」というだけの魚ではありません。飼育者との距離感が近く、“コミュニケーションがとれるような存在”として、深い愛着がわいてくる魚です。

フグはね〜、ほんとに個性豊かで、一度はまると抜け出せない魅力があるんだ〜!でも、そのぶん大事に飼ってあげる責任も忘れずにね〜!
■ フグを飼う前にチェックしたいことリスト
- 飼いたいフグの最大サイズと必要な水質(淡水or汽水)を確認した?
- 飼育環境(水槽サイズ・ろ過装置・フタなど)は準備できている?
- 餌は人工飼料だけでなく、冷凍アカムシ・貝類も用意した?
- 歯が伸びすぎた場合の対応策は知っている?
- 単独飼育を前提としたスペースは確保できている?
これらをしっかり確認し、フグとの生活を始めれば、小さな水槽の中に、とびきり個性的な世界が広がるはずです。

フグって見た目はユーモアたっぷりだけど、実はすごく繊細で、飼い主の愛情が試される魚なんだよ〜!水質・餌・広さ…どれも手を抜けないけど、そのぶん心が通じる感じがあって、とってもやりがいがあるよ〜!自分のペースで、無理せずフグとの暮らしを楽しんでね〜!

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