
はじめに:なぜ水槽台選びは重要なのか
水槽台は、単なる「台」ではありません。
水槽を安全・安定して設置するための土台であり、水槽内の熱帯魚たちが健やかに暮らすための環境を守る“縁の下の力持ち”ともいえる存在です。
熱帯魚飼育をはじめたばかりの方の中には、「とりあえず家具の上に置けばいいかな」と考える方も多いでしょう。しかし、実際には一般的な家具では水槽の重量に耐えられず、歪みや倒壊を招く危険性があります。
特に水槽は水+砂利+器具の総重量が非常に大きくなります。
たとえば、60cm水槽なら満水時で約80kg、120cm水槽なら400kg近くになることも。これだけの重量を、日常用の家具やテーブルが安全に支え続けられるでしょうか?
さらに水槽は、わずかな傾きや振動にも敏感です。水平が取れていないと水圧が偏り、ガラス面にストレスがかかり破損のリスクが高まります。また、水の揺れによって魚たちにストレスがかかることもあります。
だからこそ、「水槽台選び」は飼育の成功を左右するほど重要なポイントなのです。

水槽の中だけじゃなくて、下にもちゃんと気を配ってあげるのが、ほんとのお世話ってことかも〜!
本記事では、水槽台を選ぶうえでのポイントや注意点、おすすめの市販製品、さらにはDIYによる自作の方法まで、飼育者の目線で詳しく解説していきます。
これから水槽台を選ぶ人も、すでに使っている人も、ぜひ参考にしてください。
水槽台は専用品がおすすめな理由|家具との違いとは?
一見すると、頑丈そうなローテーブルやカラーボックスでも「水槽くらいなら置けるのでは?」と思ってしまうかもしれません。ですが、水槽台と普通の家具では、構造そのものがまったく異なります。
水槽専用台は、重さを均等に支えるための構造補強や、防水性、耐湿性、水平性などが考慮されて設計されているのが特徴です。特に中〜大型水槽の場合は、水だけで100kg〜400kgを超えるため、その重量に耐えられることが絶対条件になります。
一方、家具は基本的に「人が使う」前提で作られており、重さのかかり方も局所的だったりします。耐荷重が数十キロ程度ということも少なくなく、水槽のような“常に一点に重みがかかる使い方”には不向きです。
また、水槽周辺はどうしても水が跳ねたり湿気がこもったりしやすい環境になります。木製の家具では、時間とともに湿気で膨張・変形・腐食することもあり、ある日突然「ミシッ」と傾いて水槽が崩れる…なんて最悪の事態も起こり得ます。

たらこが昔住んでた水槽、実はテレビ台の上だったんだけどね〜、ある日、木ダボが折れて傾いちゃったんだ…ヒヤッとしたよ〜
専用水槽台は、こうしたリスクを想定して、
- 耐荷重の明記(100kg〜500kg以上)
- スチール製などの耐水素材
- 水平をとるためのアジャスター脚付き
- 水槽サイズにピッタリ合う寸法
といった設計がされています。
さらに、外観もインテリア性を意識したものが多く、水槽との一体感も出しやすいため、見た目にも美しく整ったレイアウトが可能です。
水槽台はただの台ではなく、“飼育の安全性を支える設備”と考えるべき存在です。万が一の事故を防ぐためにも、最初から専用品を選ぶことが、魚にも飼い主にも安心な選択肢です。
水槽サイズ別|おすすめの水槽台を選ぶポイント
水槽台は、水槽のサイズや重量に応じて適切な製品を選ぶ必要があります。ここでは30cm以下の小型水槽から、120cmクラスの大型水槽まで、サイズ別におすすめの市販製品を紹介します。
小型水槽(30cm未満)向け:おしゃれ&省スペースを両立
【コトブキ工芸 プロスタイル300】
- 対応サイズ:30cm水槽
- 耐荷重:約40kg
- 材質:木材
- 特徴:コンパクトでモダンなデザイン。部屋のインテリアになじむ外観。
- 価格帯:約9,000〜10,000円
30cm水槽は重量も少ないため、専用台でなくても設置は可能なケースもありますが、グラつきや見た目を考えるとやはり専用品がおすすめです。

小型水槽でも台がしっかりしてると、なんだか高級感が出るんだよね〜!
中型水槽(60cm〜90cm)向け:安定性と収納性がカギ
【コトブキ プロスタイル 600S ブラック】
- 対応サイズ:60cm水槽(60×30cm)
- 耐荷重:約100kg
- 材質:木製(パーティクルボード+防水加工)
- 特徴:収納スペース付きで、外部フィルターや道具の隠蔽に便利
- 価格帯:約8,000〜12,000円
【ジェックス アクアラック】
- 対応サイズ:90cm水槽(90×45cm)
- 耐荷重:約200kg
- 材質:木製フレーム構造(防水)
- 特徴:観音開きで内部が広々。外部フィルターも楽々収納
- 価格帯:約16,000〜21,000円
中型水槽になると、重さが100kgを超えてくるため、耐荷重性能がより重要です。特に90cmクラスでは外部フィルターとの組み合わせを考え、収納性も確認しましょう。
大型水槽(120cm以上)向け:最重視すべきは「耐荷重」と「剛性」
【GEX アクアラックスチール 1200】
- 対応サイズ:120cm水槽(120×45cm)
- 耐荷重:上段350kg、下段350kg
- 材質:スチール
- 特徴:水槽とピッタリ合う安定構造。配線穴ありで配管にも対応
- 価格帯:約35,000〜40,000円
【鉄製水槽アングル】
- 対応サイズ:120cm以上
- 耐荷重:700kg以上
- 材質:鉄製
- 特徴:完全な剛性重視。耐久性・安定性に優れ、外部フィルター、オーバーフローにも対応
- 価格帯:約50,000〜80,000円
大型水槽は400kgを超える重量になるため、床の強度や水槽台の剛性を最優先に考える必要があります。スチール製キャビネットなど、構造的にしっかりとした製品を選びましょう。

120cmクラスの水槽は、見た目の迫力もすごいけど…台までちゃんとしてないと、ほんと危ないからね〜
素材の違いとメリット・デメリット
水槽台にはさまざまな素材が使われていますが、それぞれに特徴と向き・不向きがあります。素材選びを間違えると、耐久性や安全性に大きく影響するため、水槽サイズや設置環境に合った素材を選ぶことが重要です。
ここでは代表的な4つの素材について、そのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
1. スチール製(水槽フレーム型)
特徴
・スチールパイプや鉄板などで構成された頑丈な骨組み構造
・重量に対して非常に強く、120cm以上の大型水槽にも対応できるものが多い
メリット
- 高い耐荷重性能(500kg以上の製品も多数)
- 長期間の使用に耐える耐久性
- 湿気や水に強く、腐食しにくい(防錆加工あり)
- 枠が細いので、軽やかで開放感ある印象に
デメリット
- デザインが無骨で、インテリア性はやや劣る
- 扉や収納スペースがない製品が多く、外部フィルターや配線がむき出しになることも

シンプルでがっしりした作りが好きな人にはピッタリだよ〜!メンテナンスもしやすいかも!
2. 木製(MDF・パーティクルボードなど)
特徴
・家庭用家具と同様の素材が使われ、見た目が美しい
・45〜90cm水槽向けの製品に多く採用
メリット
- インテリアになじむデザインが多く、部屋の雰囲気を壊さない
- 扉付き収納など、機能性に優れた製品が多い
- 比較的安価で手に入りやすい
デメリット
- 湿気や水濡れに弱く、長期使用で膨張や剥がれが起こるリスクがある
- MDF材は芯が脆いため、ネジの抜けなどの構造劣化が心配
- 極端な重量(水槽+器具で200kg以上)には不向き
3. 無垢材・合板製(DIY向け)
特徴
・ホームセンターなどで購入できる木材を用いた自作台に使われる素材
・設計や加工次第で高い強度も出せる
メリット
- 自由なサイズ・設計が可能
- 補強すれば大型水槽にも対応可能
- 自作ならコストを抑えつつ質の高い台が作れることも
デメリット
- 加工や設計に知識が必要(水平性や耐荷重の計算ミスが事故につながる)
- 加工不良・固定不良によるガタつきのリスク
- 材料により水濡れ・湿気に弱いものもあるため、防水処理が必須
4. ステンレス製(高耐久・業務用)
特徴
・病院・研究所などでも使われることの多い、業務用クオリティの水槽台に採用される素材
・非常に高価だが、耐久性・耐腐食性ともに最高クラス
メリット
- 完全防錆で、海水水槽や湿度の高い場所でも安心
- 非常に高い耐荷重(数百kg〜1トン近くまで対応)
- 高級感ある外観
デメリット
- 非常に高価(数万円〜十数万円)
- 重量があり、移動・設置が大変
- DIYには不向き
素材選びは設置場所・水槽サイズ・メンテナンス性で決める
素材によって「耐久性」「価格」「デザイン性」「メンテナンスのしやすさ」が異なるため、自分の設置環境と飼育スタイルに合わせて選ぶことが大切です。屋外や湿気の多い部屋ならスチールやステンレス製、室内でインテリアと合わせたいなら木製など、目的ごとに最適解は変わってきます。
実体験から学ぶ!水槽台トラブルと対策
水槽台は一見すると「ただの台」と思われがちですが、実際にはトラブルの原因となるケースが少なくありません。特に初心者の方は、初期の選択ミスや設置環境の確認不足によって、思わぬリスクに直面することも。
ここでは、筆者やアクアリストの間で実際にあったリアルなトラブル事例とその対策を紹介します。
トラブル① 家具で代用 → 徐々に沈み込み、水槽が傾く
実例
60cm水槽を木製のテレビ台の上に設置。数週間後に水面が傾き、よく見ると天板が中わずかに沈み込んでいた。
原因と対策
家具の天板は重みを均等に支えるようには作られていないため、水槽のように一点に大きな荷重がかかると歪みが生じやすい。
→ 60cm以上の水槽は専用品の使用が必須。木製家具を使う場合でも、天板の下に補強材を追加するなどの対処が必要。
トラブル② 湿気で木製水槽台が劣化 → 表面が膨張・剥離
実例
外部フィルターのホースからわずかに水が漏れていたことに気づかず、台の内部が常に湿った状態に。数ヶ月後、表面の板材が剥がれてきた。
原因と対策
MDFやパーティクルボードは湿気に弱く、防水処理がされていても完璧ではない。
→ 定期的な点検と、接続部やフィルターの水漏れチェックが重要。水槽台の素材も、湿気に強いものを選ぶか、水が溜まりやすい構造を避けるべき。

ちょっとの水漏れでも、放っておくと台の中がフニャフニャになっちゃうことあるんだよ〜!こわいよね〜
トラブル③ 設置場所が歪んで水槽が斜めに…
実例
フローリングの部屋に90cm水槽台を設置。肉眼では気づかなかったが、設置後に水面が傾いているのを発見。床が過重に耐え切れず歪んでいた。
原因と対策
床にわずかな傾斜があると、水槽にかかる水圧が偏ってしまい、地震などの振動によって水槽の歪みや破損の原因となる。
→ 設置時には水平器を使って確認し、必要に応じてアジャスターや水平調整マットを使用すること。
トラブル④ 耐荷重オーバーで底抜け崩壊寸前
実例
自作した木製水槽台に120cmオーバーフロー水槽を設置。3ヶ月後、底板が外れ、濾過槽が大きく傾いていることに気づいた。
原因と対策
自作台において最も多いのが耐荷重計算ミス。特に中央部の補強が足りないと、水槽の重みで徐々に構造が歪む。
→ 自作の場合は、水槽+水+底砂+機材の合計重量をしっかり計算し、構造に無理がないかを確認する。心配ならスチールフレームなどの専用台を選ぶのが安全。
トラブル⑤ フィルター・配線スペースが足りず後悔
実例
60cm水槽用のシンプルな水槽台を購入したが、外部フィルターの高さが合わず、扉が閉まらない。さらに、配線の逃がし口もなく、ごちゃごちゃに。
原因と対策
収納スペースの寸法確認不足が原因。市販の水槽台でも、製品によって収納部のサイズや構造は大きく異なる。
→ 外部フィルター・エアポンプ・配線の配置までイメージし、必要な高さと幅を確保できる製品を選ぶこと。特に収納部が板で区切られている場合は寸法確認必須。
これらの事例から分かるように、水槽台の選び方ひとつで、飼育環境全体の安定性と安全性が左右されます。
単なる「台」としてではなく、命を預かる基礎設備の一部と認識し、慎重に選びましょう。
使って良かった!おすすめの水槽台製品レビュー
水槽台は、単に耐荷重だけを見て選べばいいというものではありません。
日々のメンテナンスのしやすさ、配線や機材の取り回し、インテリアとの調和といった要素も大切です。ここでは、筆者および他の飼育者から「これは使いやすかった!」と好評だった信頼性の高い水槽台製品を紹介します。
1. 【コトブキ プロスタイル 600S】(60cm水槽用)
実際の使用感
組み立ても簡単で、扉付き収納が非常に便利。外部フィルター(エーハイム2213)を内部にすっきり収めることができ、配線穴も背面に用意されています。日常的なメンテナンスも扉を開けるだけでOK。
おすすめポイント
- 見た目もシンプルで、部屋のどんなテイストにも合う
- 水槽と同じメーカー(コトブキ)製なので、サイズがピッタリ
- 価格が抑えめなのにしっかりした造り

プロスタイルは“入門者の定番”って感じだね〜!使いやすさと価格のバランスがいいよ〜
2. 【ジェックス アクアラックスチールシリーズ】
実際の使用感
60cm水槽と合わせて使用中。シンプルで開放的なため、大きめの外部フィルターや配線の調整がとても楽。化粧板などDIYが可能、数年使っても劣化が見られない。
おすすめポイント
- 広々とした収納スペースで大型機材にも対応
- 高さもちょうどよく、メンテナンス姿勢が楽
- しっかりとした重量感があり、安心して使える
3. 【自作水槽台 120cm】(大型水槽対応)
実際の使用感
120cmワイドオーバーフロー水槽+上部化粧パネル+流木レイアウトという重量級セットを支えるために導入。ツーバイフォー材で制作、補強により圧倒的な剛性と安定感で、震度5強の地震時も微動だにせず非常に安心感があった。
おすすめポイント
- しっかり設計すれば安心感が段違い
- 化粧板、仕上げ材が自由でインテリアにもマッチ
- DIYで扉を追加するなど、拡張性も高い
- オーバーフロー設計、配線用の背面穴など自由度が高い
レビューから見えた共通点
実際に使用して感じたこととして、「収納性」と「安定感」が満足度に直結するという点が挙げられます。また、機材の配置や配線の自由度もストレスの少ない飼育環境づくりに不可欠です。
製品レビューをチェックする際は、以下の点に注目するとよいでしょう。
- 扉の開閉方式と耐久性
- 内部の高さ・奥行き(フィルター収納可否)
- 配線・配管用の穴の有無
- 耐荷重と構造材の種類
水槽台の自作は可能?メリット・デメリットを比較
市販の水槽台も便利で安心ですが、DIYが得意な方や「もっと収納を増やしたい」「部屋に合ったデザインにしたい」と考える方の中には、水槽台を自作する選択肢も出てくるかと思います。
結論からいえば、自作は可能です。ただし、相応の知識と準備が必要で、失敗すると危険も伴います。
ここでは、水槽台を自作するメリットとデメリットを整理し、実際に自作する場合のポイントも解説します。
自作のメリット
1. 自由な設計ができる
部屋の間取りや水槽サイズにピッタリ合うように設計でき、収納棚や引き出し、配線穴なども自在に組み込めます。
2. コストを抑えられることがある
材料費だけで済ませれば、同等サイズの市販品よりも低コストで仕上げることも可能です。特に90cm以上の大型水槽の場合、市販品は高額になりやすいため自作の意義も大きくなります。
3. 満足感と愛着がわく
「自分で作った台で飼育を始める」喜びは、DIYの大きな魅力。仕上がりに納得できれば、より飼育へのモチベーションも高まります。
自作水槽台に関してはこちらの記事をご覧ください。

手間はかかるけど、世界に一つだけの水槽台ってちょっとワクワクするよね〜!
自作のデメリットとリスク
1. 耐荷重の計算ミスは致命的
水槽は数十〜数百キロの重さがかかるため、構造計算を誤ると倒壊や傾きの危険性があります。特に天板のたわみや、脚部の剛性不足には要注意。
2. 水平・安定性の確保が難しい
少しのズレでも水槽が傾き、水圧が偏って破損することも。特にフローリングなど設置面が完全にフラットでない場合、アジャスターや調整材が必要になります。
3. 工具・作業スペース・技術が必要
電動ドライバーや丸ノコ、クランプなどの工具に加え、木材の切断・接合が必要。正確に仕上げるにはDIYの経験と環境が整っていることが前提です。
最低でも木材にビス穴を開ける用で電動ドライバーは必須です。
4. 防水・防腐処理の手間
木材をそのまま使うと湿気や水漏れで傷みやすくなるため、ニスや塗装、防水シートなどで仕上げ処理が必要です。
自作に向いている人・向いていない人
条件 | 自作向きかどうか |
---|---|
DIYに慣れていて設計図が描ける | ◎ 自作向き |
予算を抑えたい&作業スペースがある | ○ 条件付きで可 |
大型水槽で既製品が合わない | ○ 強度に注意しながら検討可 |
工具が揃っておらず経験も少ない | × 市販品を推奨 |
安全性を最優先にしたい | × 専用品が安心 |
自作する場合のポイントと注意点
- 水槽の重量(満水時)+器具の重さを合計し、それに耐える構造かを計算
- 天板には反りに強い合板や集成材を使用し、支柱間の間隔を詰めて補強
- ネジ留めだけでなく、木工ボンドやダボ継ぎなども併用すると強度アップ
- 床接地面にゴムマットや防振材を敷いて安定性を向上
- 組み立て前にシミュレーションと水平チェックを徹底
筆者の体験:120cm水槽台の自作例
筆者は、奥行き60cmの120cm水槽台を自作。天板に厚さ18mmのOSB合板を使い、すべて2×4材、補強に2×4材の支えを設置。おおよそ500kg近い重量にも耐えられる構造とし、4年経過した今でも問題なく使用中です。
自作は、自由さと同時にリスクも伴う選択肢です。
安全性を第一に考え、「構造計算できるか」「防水・水平を確保できるか」を基準に、慎重に検討することをおすすめします。
床の耐荷重と水槽台|設置前に確認すべきこと
水槽台を選んでも、その下にある「床」が水槽の重みに耐えられなければ、意味がありません。水槽台そのものの強度と同じくらい、“設置する床の強度”が重要なポイントになります。
特に木造住宅の2階やアパート・マンションの上階では、床の耐荷重を事前に確認しておかないと、沈み込みや床鳴り、最悪の場合は床のたわみや破損といったトラブルに発展することがあります。
水槽の重さはどのくらい?
以下は水槽サイズごとの、満水+底砂+機材を含んだおおよその重量です。
水槽サイズ | おおよその総重量 |
---|---|
30cm(27L) | 約30〜40kg |
60cm(約64L) | 約80〜100kg |
90cm(約157L) | 約180〜220kg |
120cm(約243L)奥行き45cm | 約300〜400kg以上 |
床にこれだけの重量が“常にかかり続ける”という点がポイントです。特に集中荷重(1点に重みが集中すること)が床に負担をかけます。
木造住宅で注意すべきこと
・梁の向きと設置場所
木造住宅では、床下にある「梁」の向きに対して直角に水槽台を設置すると、荷重が複数の梁に分散されて安定しやすくなります。逆に梁と同じ方向に水槽を設置すると、一点に重さが集中しやすく、危険です。
・壁際 or 部屋の中央?
壁際(特に柱や構造壁の近く)の方が床が強い構造になっています。部屋の中央や吹き抜けに面した部分は避けるのが無難です。
床の耐荷重目安と判断材料
一般的な住宅の床は、180kg/m²〜200kg/m²程度の耐荷重を想定して設計されていることが多いとされています。ただし、これは全体平均の分散荷重であり、水槽のような集中荷重には適さない場合もあります。
判断材料として、
- フローリングが沈むような感触がある
- 床鳴りがする
- 下階への漏水や響きが心配
といった要素があれば、床補強または軽量な水槽・台を選ぶ判断基準としてください。
床補強の方法と工夫
- コンパネ(構造用合板)を水槽台の下に敷くことで、荷重を広い範囲に分散
- 防振マットやゴム板を使って揺れやたわみを軽減
- 賃貸住宅では管理会社に確認し、設置可能か事前相談するのがベスト
- 重量が心配なら、奥行きの短いタイプやガラス厚の薄い水槽に変更する選択も

たらこも昔、床がミシミシって鳴る部屋に住んでたことあるけど…あれはちょっと怖かったかも〜
大型水槽は特に要注意
120cm以上の大型水槽や、奥行き45cm〜60cmといった重量級の水槽を設置する場合は、床の構造材の強化(根太・梁の追加)や専門業者による補強工事を検討する必要があります。
構造的に不安な場合は無理をせず、重量の軽い水槽セットやアクリル水槽を選ぶなど、安全性を優先しましょう。
設置時のポイントとメンテナンス方法
水槽台を購入・自作した後、いよいよ設置…ですが、ここでも慎重さと正しい手順が求められます。
せっかく頑丈な水槽台を用意しても、設置方法を誤ると傾き・揺れ・破損・劣化の原因になってしまうことがあります。
ここでは、水槽台を設置する際に押さえておきたいポイントと、長く安全に使い続けるためのメンテナンス方法について解説します。
設置前のチェックポイント
1. 床が水平かを確認
水平でない床にそのまま水槽台を置くと、水槽自体が傾き、水圧が偏ってガラス面に負担がかかります。必ず水準器(レベル)で確認し、傾きがある場合はゴム板や水平調整マットで補正しましょう。
2. 壁から数センチ離す
水槽を壁にぴったりとくっつけると、湿気がこもったり、振動音が伝わって壁が共振することがあります。排熱や配線のためにも、最低3〜5cmは壁から離して設置するのがおすすめです。
3. 振動を抑える工夫
床に接する脚部には、防振パッドやカーペット、ラバーマットを敷いておくと、階下への振動音や滑り、たわみを軽減できます。
設置後の確認ポイント
- 水槽を設置したあとに再度水面が水平かを確認
- 外部フィルターのホースや電源ケーブルの取り回しに無理がないかをチェック
- 台の揺れがないか、体で軽く押して確認
- 水槽の四隅すべてがしっかりと台に接しているか
メンテナンス方法と習慣
1. 定期的にネジや接合部を点検
特に自作台や木製製品では、湿気や荷重によりネジの緩みやガタつきが起きることがあります。半年に一度を目安に、ネジの締まり具合を確認しましょう。
2. 湿気やカビを防ぐ
水換えのたびに水が垂れる→染み込む→劣化するという悪循環を防ぐため、台の内部や裏側もときどき風通しをよくしたり、乾いた布で水気を拭き取ることが大切です。
3. 床の沈み込みやきしみのチェック
台そのものではなく床がダメージを受けていないかも重要な点。台を動かしたときに床が変色していたり、沈み込みが見られた場合は、補強を検討するタイミングです。

水槽の中も大事だけど、足元の“土台”のメンテナンスも忘れずに〜!安心して暮らせる環境づくりだよ〜
あると便利な補助アイテム
- 水平器:設置時の水平確認に必須
- ゴムマット or ウレタンシート:床へのダメージ軽減
- 防振パッド:揺れ・騒音対策に有効
- 配線穴付きのコードカバー:電源周りをすっきり整理
- 防水スプレー or ワックス:木製台の表面保護に
正しく設置し、適切にメンテナンスを行えば、水槽台は5年〜10年以上の長期使用も十分可能です。大切な魚たちの暮らしを支える“縁の下の土台”として、設置とケアにもしっかりと手をかけていきましょう。
まとめ:安全・安心な飼育環境のために水槽台選びを妥協しない
水槽台は、ただ水槽を「乗せるだけ」の家具ではありません。
それは、水の重さを支え、機材やレイアウトを安定させ、熱帯魚たちが安心して暮らせる環境を「物理的に守る」大切なインフラです。
この記事では、以下のようなポイントを解説してきました:
- 水槽台を家具で代用すると起こりうるトラブル
- サイズや素材ごとのおすすめ製品
- 自作のメリットとリスク
- 設置前に確認すべき床の耐荷重
- 長く使うためのメンテナンスの工夫
どれも、“魚たちにとっての住まい”を守るうえで欠かせない視点です。
とくに初心者の方にとっては、水槽本体や魚種選びに意識が向きがちですが、台の選択が飼育全体の成功とトラブル防止につながることを、ぜひ心に留めておいてください。

台がグラグラだと、お魚たちもドキドキしちゃうんだよ〜。安心して暮らせるおうちには、しっかりした土台が必要なのさ〜!
最後に、水槽台選びで迷ったときの簡易チェックポイントをまとめておきます。
水槽台選びチェックリスト
- □ 水槽サイズと耐荷重は適合しているか
- □ 床の耐荷重や水平は確認済みか
- □ 外部フィルターや電源まわりのスペースは足りるか
- □ デザインや色合いは部屋に合っているか
- □ 設置・メンテナンスがしやすい構造か
- □ 自作する場合は十分な強度・設計になっているか
水槽台にしっかりと投資することは、安心してアクアリウムライフを続けるための“最初の一歩”です。
愛魚たちが安心して泳げる環境を、足元から支えてあげましょう。

水槽台って地味だけど、実はお魚たちの安心・安全を支える“縁の下の力持ち”なんだよ〜!ちゃんと選んで、長く安心して飼育を楽しもうね〜!

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